東京朝市 アースデイマーケット EarthDayMarket

家庭内自給率アップ!〜稲刈り&天日干し〜

このブログで何度か書いた田んぼでの稲刈り&天日干しに先週末行ってきました。
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ちょうど昨年のいまごろ出会った田んぼ。

この一年、始めて出会ったときは荒れ果てた耕作放棄地だった草むらは、観音さまの湧き水が脇を流れ、里山を伝う風は真夏の暑さを少し和らげてくれながら、いまではたわわに実った稲穂が一面にかかったはざ架けの景色に生まれ変わりました。昨日、稲刈りから2日目。今年田んぼを指導してくださったアースデイマーケットの出店農家「自然村たなごころ 〜掌〜」の岡野さんは「壮観ですよ。」と電話をしてくださいました。

ボクは二児の父ですが、お腹に子どもを宿せないからでしょうか?いままで男性としてしか赤ちゃんを育てるイメージが掴めませんでした。この夏お会いした在来種サワノハナを自然農法で育てているネットワーク農縁の山形県新庄の高橋さんが「まだ穂の出る前の稲は胎児のようだよ、茎の中には真っ白いお米の花と羊水のような水が入っているんだ。」と話してくれたのを思い出します。また前回のボクの草取りのレポートでは、「草取りで流れる額の汗が田んぼに落ちて、それを稲が吸うと思うと、乳をあげている気分になる」と書きました。2日前の稲刈りの時、岡野さんが「稲刈りをして乾燥させる時、稲藁をつけたまま乾かすのは稲藁に残っている最後の最後の栄養をお米に伝えきるんです」というのを聞いた時。最後の最後、へその尾の中に残った養分を胎児が吸いきるまでへその尾を切らないという助産師さんの話を思い出しました。そう思うと、これは母親の感覚の子育てだ。と、籾一粒の価値がいままでと生々しく劇的に変わってきました。実際の子育てで掴めなかった感覚がなぜか米作りで補完されたような気がします。

素人の作業は延々続き、街灯1つない里山の田んぼは完全に闇に包まれ、乗って来た車のヘッドライトと懐中電灯で所々照らしながらの稲刈りナイターになりました。それでも全部終わったわけではありません。まだ少しですが作業は残ってしまいましたが、残りは岡野さんにお願い出来ることとなりました。まる一年間、いろいろとお世話になりっぱなしで、たくさんご迷惑をおかけした部分もありましたが、多くの人が係ったことで還元していきたいと思います。

この日、岡野さんの奥さまから衝撃的な話を聞きました。ご存知の方も多いかもしれませんがお米の買い取り価格です。半年以上1年未満かけて育てたお米は1等米で1俵60kgで1万数千円で取引されるそうです。その金額は昨年から2,000円も下がったそうです。この金額は大きく見て市場が決めたものですが、決定的に農家さんには厳しい金額です。例えばボクらの田んぼはアマチュアが趣味でやったとはいえ、2反でたぶん少なくても8〜9俵くらいは収穫できるんじゃないか?と思います。無農薬無化学肥料ではかなり良く出来た方だと思います。けれど、17人で係った田んぼが1等米だとしても10万円行くかいかないか。そして、この1等米というのがかなりくせ者で味や農薬の使用不使用が問題ではなく、見た目の世界です。数粒の脱穀しもれた籾がまぎれていたり、カメムシに吸われた限りなく小さい黒い斑点が紛れようものならすぐに2等、3等と等級が落ちるそうです。それに併せて価格はどんどん落ちます。強いていえば、1等級より見た目が整ってきれいな2等級米は存在しないかもしれませんが、1等級のお米よりずっと美味しい2等級、3等級のお米は存在するということです。見た目も味のうちですし、味は個々の嗜好が大きく係ることですが、見た目だけで米の価格が決まるというのはただ納得できません。我々の田んぼは無農薬かつどこよりも遅い収穫だった為、大量のカメムシの楽園になっていました。黒い斑点がついていない訳がありません。けれども、自家消費だから気にしない。自分で作ったから何よりも価値はわかっている。そして、岡野さんが美味しいお米になるように指導してくれたし、最高の1年だったと思えば、売価などは一切気になりません。とはいえ、あれだけ苦労をしてくると農家さんがどうしたって割が合わないのはわかります。農家さんと直接販路を持って購入する食の入手方法により、農家さんに少しでもちゃんと利益が還元できるようになることがとても重要だと改めて思いました。毎昼800円前後で昼食を食べますが、その金額のいったい何割がお米代なのでしょうか?そして農家さんにはいったい何割が渡っているのでしょうか?アースデイマーケットで農家さんから直接お米を購入したり、知り合いの農家さんから直接お米を送ってもらって買うことでどれだけ農家さんにメリットが上がるのでしょうか?

お米は豆と並んで保存が利きます。どんな形でも良いので、一度農家さんから直接お米を購入してみてください。そしてそのお米をどんな風に育ててらっしゃるか聞いてみてください。そしてできることならそのお米の農家さんを御手伝いに行ってみてください。そのお米はあなたが係る分だけ、あなたのためにあなたの子のように可愛く美味しく育ってくれると思います。

2010年10月06日 20:19:53